行動医学研究
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総説
制御可能性が免疫系に及ぼす影響
谷川 武荒記 俊一中田 光紀
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1996 年 3 巻 1 号 p. 16-19

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抄録

近年、種々のストレッサーが免疫系に及ぼす影響に関する報告がなされるようになり、ストレッサーの違いによって免疫反応の低下と増強の両者が起こることが見出された。
物理的ストレッサーに対する制御可能性の有無が免疫系に及ぼす影響を検討する方法としてトリアディックデザインが広く用いられている。トリアディックデザインを用いた研究によって制御可能性の有無が異なる免疫反応を引き起こすことが示されてきた。電撃ショックに対する制御不可能ラットではマイトジェンに対するリンパ球幼若化反応の低下が起こる事がMaierらによって示されたが、後にその結果の再現性が確認出来なかったことがMaierらによって再報告された。
動物実験によるストレスと免疫系の関連に関する知見をヒトに応用するためには制御可能性の有無を考慮に入れることが重要と考えられる。また、心理的要因が免疫系に影響を及ぼす詳細なメカニズムの解明が今後の課題である。

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© 1996 日本行動医学会
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