行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
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幼児の課題解決行動の持続性に及ぼす自己教示の影響(<特集>不安のコントロール)
李 麗征
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1985 年 10 巻 2 号 p. 105-111

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抄録
本実験の目的は自己教示が幼児の課題解決の持続性にどう影響するかを研究したものである。幼稚園4歳・5歳・6歳児各56名(男女同数),合計168名の被験者を7条件群に分けて個別的に実験が行われた。第1段階では,pretestとしてゴム紐の「結び目解き」が成功,失敗,成功+失敗の条件に従って被験者にそれぞれの先行経験が与えられた後,本テストの「結び目解き」が行われた(実験1)。そして達成率すなわち持続性最低の結果を生んだ失敗群とすべて同じ条件下で自己教示を加えて持続性の成果をみるのが第2段階の実験2である。尚先行経験の影響を見るために異課題失敗群と異課題失敗+自己教示群を加えた。結果は女子の持続性は男子よりも良く,6歳児は4歳・5歳児のいずれよりも良かった。条件群間の比較では,同課題失敗群の持続性がもっとも悪く,統制群もあまり良くなかった。次いで異課題失敗群<同課題失敗+自己教示群<同課題成功+失敗群<異課題失敗+自己教示群と同課題成功群の順に課題を達成している。自己教示が幼児の持続性に及ぼす影響はかなり大きいことが示された。
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© 1985 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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