行動療法研究
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自閉症児と健常児における刺激の過剰選択性 : 視覚複合刺激の差による効果(原著論文)
園山 繁樹小林 重雄
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1986 年 12 巻 1 号 p. 62-72

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抄録

本研究の目的は,刺激の過剰選択性に及ぼす2組の視覚複合刺激(「空間的に独立した要素からなる刺激;SSIE」と「多次元刺激;MS」)の効果を評価することである。自閉症児7名,MAマッチした健常児7名(3歳児),及び4歳児9名,6歳児9名が2つの刺激セットの各々について同時弁別課題の訓練を受けた。そして,どの要素が反応を制御しているかを評価するために,個々の要素についてテストされた。結果は以下の通りであった。(1)過剰選択性を示した被験児の比率は,両刺激条件とも自閉症児とMAマッチの健常児群に差はなかった。しかし,(2)全被験児のうち2つの要素に制御されていた被験児の比率は,SSIE条件よりもMS条件の方が大きかった。(3)過剰選択性を示す被験児の比率がMAの上昇とともに減少するかどうかは明確ではなかった。これらの結果より,刺激の過剰選択性は自閉症児特有のものではなく,複合刺激条件によっても影響を受け,またMAとの関連性は明確ではないことが示唆された。

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© 1986 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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