行動療法研究
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頭痛症例に対するバイオフィードバック療法の適用
中川 保弘芝山 幸久坪井 康次筒井 末春
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1987 年 12 巻 2 号 p. 117-123

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抄録
片頭痛や筋収縮注頭痛などの慢性頭痛に対しbiofeedback(BF)が行なわれている。今回われわれはBFを終了した患者に予後調査を行ない,その有効性と年齢,性,不安および抑うつなどの心理状態について検討を行なった。 対象および方法:対象は東邦大学心療内科を頭痛を主訴に受診し,Ad Hoc Committeeの分類で片頭痛,筋収縮性頭痛と診断された患者38例である。そのうち片頭痛症例は26例(男子3例,女子23例),平均年齢は44.3歳であり,筋収縮性頭痛は12例(男子6例,女子6例),平均年齢は51.2歳であった。 これら症例に対して,片頭痛例には皮膚温フィードバックを,筋収縮性頭痛例には筋電図フィードバックを施行した。 また各症例に対し,心理テストとして不安状態を把握する目的でTaylorの不安尺度(ManifestAnxiety Scale, MAS),抑うつ状態の把握には抑うつ尺度としてのSelf-Rating Questionnaire for Depression(SRQ-D)を採用し,最初のバイオフィードバック訓練時に提出させた。 パイオフィードパック療法終了後平均1年間経過した患者に対し,質問紙法による予後調査を行ない,年齢,性とバイオフィードバック療法の有効性について検討を行なった。 結果および考按:パイオフィードパック療法終了1年後の有効率は筋収縮性頭痛58.3%,片頭痛53.8%であった。 年齢および性についての検討では,片頭痛,筋収縮性頭痛ともに年齢および性に関してパイオフィードバック療法の有効例と無効例の間には有意差は認められなかった。 またMAS得点, SRQ-D得点の比較でも,片頭痛,筋収縮性頭痛ともにパイナフィードバック療法の有効例と無効例の間には有意差は認められなかった。 これらのことからパイナフィードバック療法の有効性と,年齢,性,不安および抑うつ状態との間には特定の関係は認められない可能性が示唆された。
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© 1987 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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