抄録
精神遅滞児に対して,主語・述語・目的語をそなえた構文の使用を獲得させることを目的として指導を行った。プロソプト試行で模倣反応を訓練し,プローブ試行でその確かめを行うという,くり返しの反応過程で言語反応の獲得を図った。プロソプト試行の正反応はFR6で,プローブ試行の正反応はCRFでチャイム音と○印を用いて強化した。誤反応には,ブザー音と×印で罰を与えた。指導の結果,パーセソトコレクトが有意に上昇し,目的とした行動が獲得された。また,その獲得行動が18週間保持された。さらに,直接には訓練していない刺激に対しても,主語・述語・目的語をそなえて反応することができるようになり,般化したことが明らかになった。本研究の結果は,精神遅滞児に対する構文指導の可能性を示すものと判断される。また,模倣プロンプトや分化強化のような訓練手続きが,言語反応の発達に重要な要因であることを示している。