抄録
本研究は痛みの制御に及ぼすディストラクション方略とセルフエフィカシーの効果の検討を行うことを目的としている。被験者は,大学生男性24名女性24名で,3℃の冷水に手をつけるように教示された(コールドプレッサーテスト)。これらの被験者は,3(ディストラクション:High/Low/Contro1)×2(セルフエフィカシー:High/Low)の要因計画に従い,6グループに割り当てられ,各条件下での耐性時間,主観的な痛み,ディストレス,不安等が測定された。2要因分散分析を行なった結果,耐性時間の延長において,ディストラクションの主効果が認められたが,セルフエフィカシーの主効果,交互作用はいずれの指標においても認められなかった。この結果について,ディストラクション方略における注意の量とセルフエフィカシー操作における問題点からの検討を行なった。