抄録
登校拒否が長期化している児童の2ケースについて,シェイビング法により治療した。治療は登校のレディネスが形成されれば登校行動の形成も可能であろうとの仮説に立ち,2つの段階に区分して行なった。レディネスの形成段階では,自律的生活習慣の形成,学習習慣の形成,登校に対する過剰な不安の低減,登校に対する動機づけなどが達成された。登校行動の形成段階では,親が同伴して教室での在席時間を延長する手続から開始した。そして,教室への適応が確認された後,フェイディングにより漸次付き添い時間の短縮を行なった。このような段階的治療の結果,2ケースとも登校が可能になった。また,対象が児童の場合,親が共同治療者となることも重要であった。