この20年来,米国を中心に着実にすすみつつある心理療法統合の動きについて,行動療法の果たす役割に重点をおきながら概観した。まず,統合をすすめる要因として学派の乱立とそれぞれの治療効果の限界,医療経済からの圧迫などを指摘し,次いで最も頻繁に見られる組合せとしての行動一力動療法統合を歴史的に回顧し,1932年のフレンチ発言から70年代までの貢献を表示した後,加速度的に増加する80年代の業績をテーマ毎にまとめて紹介した。さらに,この統合成否の鍵をにぎる現実認識の相違,無意識の役割,感情転移,治療目標などの論点をあげ統合の可能性を論じた。最後に今後の課題にふれ,改めて認知行動療法の果たす役割を強調した。