本研究の目的は、近年盛んに行われているSSTプログラムを慢性の精神分裂病患者に適用し、そのプログラムを般化・維持、社会的妥当性の面から評価することである。対象者は、約24年、27年、10年、および9年と長期にわたって入院している慢性の精神分裂病患者であった。訓練効果の般化と維持を促すために、以下のような手続きを組み込んだ。(a)訓練場面において環境的な側面および弁別刺激の観点から現実場面を再現する。(b)訓練期間を2つに分け、連続強化から部分強化に移行した。その結果、標的行動は訓練場面だけでなく、実際場面においても成績が上昇し、般化が観察された。さらに、その効果は徐々に下降してはいくものの、比較的長期間(20か月間)維持されていた。また、数値上の改善だけでなく、社会的妥当性の評価から、プログラムの対象者および主治医の評価も高いことが明らかとなった。