2001 年 27 巻 2 号 p. 71-81
本研究では、Redressive-Reformative Self-Control Scale(杉若,1995)によって測定されるセルフ・コントロールの行動レパートリーの個人差を内的要因、刺激文で操作された状況の困難度を外的要因として、調整型セルフ・コントロールの実行を決定する要因について検討した。大学生299名に集団実験を行い、このうち、行動レパートリーの多少によって群分けされた被験者計67名を対象に内的要因と外的要因の影響を調べた。その結果、調整型セルフ・コントロールで用いられる反応は、その課題志向性から2つに分類できることが明らかになり、課題志向的な調整型セルフ・コントロールには内的要因と外的要因の交互作用が、非課題志向的な調整型セルフ・コントロールには外的要因の影響が見出された。2つの調整型セルフ・コントロールは異なる機能を有するため、個人と状況に応じたコントロールを適用することで、情動的・認知的なストレス反応が効果的に制御されるだろう。