行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
痛み耐性の増大に及ぼすacceptance rationaleの効果 : acceptanceエクササイズとFEARエクササイズの比較(原著,<特集>プライマリーケアと行動療法・認知行動療法)
高橋 稔武藤 崇多田 昌代杉山 雅彦
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2002 年 28 巻 1 号 p. 35-46

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抄録
本研究では、Hayes, Bissett et al。(1999)と同様に、コールド・プレッサー課題の耐性時間の増大に必要なrationale(講義とエクササイズ)の条件について検討することを目的とした。被験者28名を無作為に3群に分け、異なるrationaleを実施し、その効果を比較検討した。その群とは、1)A-A群(Acceptance and Commitment Therapy(以下、 ACTとする)の講義とacceptanceに関するエクササイズ)、2)A-F群(ACTの講義と思考抑制の逆効果に関するエクササイズ(FEARエクササイズ))、3)プラシボ群であった。その結果、ポストテストにおいてA-A群、A-F群ではACTに関する理解度が有意に増加した。また、コールド・プレッサー課題の耐久時間はA-A群のみが有意に増加した。これより、コールド・プレッサー課題の耐性時間を増大するためには、ACTに関する知識だけではなく、acceptanceに関するエクササイズが必要であることが示唆された。最後に、本研究の手続きに関する応用可能性と今後の課題が議論された。
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© 2002 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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