2005 年 31 巻 1 号 p. 71-84
本研究の目的は、不安症状を示す児童に対する認知行動療法(CBT)プログラムの開発と、不安症状を示す児童への介入報告である。CBTプログラムは全8セッションで、(1)心理的問題の教育、(2)感情の整理、(3)認知の導入、(4)(5)認知的再体制化、(6)不安階層表の作成、(7)(8)エクスポージャー、からなる。CBTプログラムの特徴として、認知の誤りを測定、改善するといった点において、アセスメントと介入方法が連動していることが挙げられる。対象者は、14歳の不安症状を抱える男児であった。CBTプログラム適応の結果、介入終結時だけでなく、1か月後、2か月後フォローアップ時においても不安症状、認知の誤りの改善がみられた。注目すべき点として、認知の誤りの改善が不安症状の改善に先行したことが挙げられる。つまり、本研究の結果から、不安症状には不安を示す児童の認知が影響していること、不安症状の改善には認知の変容が必要不可欠であることが示唆された。