抄録
本研究は、注意の瞬き(AB)課題を用いて、脅威語に対する注意バイアスの時間的特性に社会不安が与える影響を検討することを目的としていた。健常な実験参加者(n=40)に、白色の中性語が高速逐次視覚呈示(RSVP)される中に出現する、2つの緑色の標的(TlとT2)の報告を求めた。このAB課題では、T2の内容(一般的・社会的)および情動価(脅威・中性)と、標的間隔を操作した。実験参加者を不安水準によって群分けし、T2に対する正答率を比較した結果、高状態・特性不安群は、通常ABがみられる標的間隔において脅威語のT2に対する正答率の上昇を示し、時間的注意バイアスを有することが示唆された。高社会不安群ではそのような傾向はみられず、むしろ低社会不安群で脅威語に対する時間的注意バイアスがみられることが示唆された。最後に、画像刺激を用いた先行研究の結果と比較しながら、本研究でみられた注意バイアスの時間的特性について議論した。