2009 年 35 巻 2 号 p. 133-143
本研究の目的は、ひきこもり状態にある人(以下、ひきこもり本人)の親のストレス反応に影響を与える認知的要因を明らかにすることであった。親のストレス反応に影響を与える要因を明らかにするために、ひきこもり本人の親175名を対象にHBCL(境ら,2004)、「ひきこもり状態に対する否定的評価(以下、否定的評価;境ら,2009)」「ひきこもり本人が示す問題行動への対処に関するセルフ・エフィカシー(以下、セルフ・エフィカシー)」、SRS-18(鈴木ら,1997)に回答を求めた。階層的重回帰分析の結果、「否定的評価」が高いと親の「抑うつ・不安」は高く、「セルフ・エフィカシー」が高いと親のストレス反応は低いことが明らかにされた。これらの結果を踏まえ、介入において家族の認知的要因を扱う意義について考察が加えられた。