行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
非致死性トラウマ体験後の認知尺度の作成と信頼性・妥当性の検討(資料)
伊藤 大輔鈴木 伸一
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 35 巻 2 号 p. 155-166

詳細
抄録

本研究の目的は、非致死性トラウマ体験者を対象として、トラウマ体験後の認知を測定する尺度(CognitionsInventoryofNon-lethalTrauma;CINT)を作成し、その信頼1生、妥当性を検討することであった。大学生302名を対象に、非致死性トラウマ体験後の否定的な考えについて自由記述による回答を求め、項目を作成した。次に、大学生902名を対象に、CINT暫定版を実施した。探索的因子分析を行った結果、「自己の能力や価値に対する否定的な認知」「出来事の対処についての後悔の念」「他者関係性に対する否定的認知」「周囲の不安全・将来に関する否定的認知」の4因子19項目から成るCINTが作成された。また、CINTは十分な信頼性と内容的妥当性、基準関連妥当性、併存的妥当性を有することが確認された。最後に、CINTの臨床的有用性に関して議論がなされた。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top