2009 年 35 巻 3 号 p. 245-255
本研究は、SSTの実施の前後に、自己の行動の評価と集団の評価に関するセルフモニタリングを行わせることによって、学級における集団の評価について検討した研究1と、SSTの実施後に研究1の結果に基づき、学級集団における児童個人の行動傾向を考慮した介入を、担任を介して行うことによる、SSTの効果の維持について検討した研究IIによって構成された。SSTの実施の前後にセルフモニタリングを実施したモニタリング群32名とSSTのみを実施した対照群33名に対して介入を実施した結果、両群において社会的スキル得点の上昇とストレス得点の有意な低減が確認され、7か月後まで維持していた。また、セルフモニタリングの結果から、学級内における社会的スキルの遂行の相互作用について明らかにすることが可能となった。以上のことから、セルフモニタリングの実施によって、学級における集団の変化の理解と、SSTの効果の維持が可能となることが明らかになった。