本研究の目的は、小学3年生の学級を対象に感情理解・感情統制の訓練を含めた学級単位の社会的スキル訓練(SocialSkillsTraining;SST)を実施し、その結果、標的スキル、仲間からの受容度、および主観的な学校適応感に向上がみられたかを検討することであった。対象は3年生の2学級であり、学級Aを介入群(η=37)、学級Bを対照群@=35)とした。学級Bの児童は通常の授業を受けた。学級Aの担任教師から報告された仲間関係の問題を行動分析した結果、「感情理解スキル(感情読み取り・感情統制)」「頼むスキル」「断るスキル」を標的スキルとした。SSTの結果、介入群では標的スキルの獲得が確認され、学級全体の仲間関係にも改善がみられた。また、特に介入前に学校適応感が低かった児童について、対照群では学校適応感に有意な変化がみられなかったのに対し、介入群では介入から3か月後のフォローアップにかけて学校適応感に向上がみられた。