行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
社交不安に対するビデオフィードバックの効果 : パフォーマンスの解釈バイアスの観点からの検討
巣山 晴菜大月 友伊藤 大輔兼子 唯中澤 佳奈子横山 仁史鈴木 伸一
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2012 年 38 巻 1 号 p. 35-45

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抄録

本研究の目的は、パフォーマンスの解釈バイアス(以下、解釈バイアス)が社交不安に対するビデオフィードバック(以下、VFB)の効果を規定する要因の一つであるかを検討することであった。大学生27名を対象に、VFBを挟んだ2度の3分間スピーチからなる実験を行い、スピーチ前の主観的不安感、スピーチ中の主観的不安感、スピーチの自己評価および他者評価、心拍数を測定した。パフォーマンスの質については解釈バイアスの大小による差は見られなかった。しかし、解釈バイアスの大きい者ほどVFBを受けることで自己評価は改善し、スピーチ前およびスピーチ中の不安感は低下することが明らかにされた。本研究の結果から、解釈バイアスが大きい者の社交不安症状に対してVFBが一層有効である可能性が示唆された。

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© 2012 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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