行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
心理士が中心に実施したうつ病の集団認知行動療法 : 大学病院における取り組みから(<特集>日本における心理士によるうつ病に対する認知行動療法のエビデンス)
松永 美希鈴木 伸一岡本 泰昌吉村 晋平国里 愛彦神人 蘭吉野 敦雄西山 佳子山脇 成人
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2012 年 38 巻 3 号 p. 181-191

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抄録

本稿では、広島大学病院において心理士が中心になって実施しているうつ病の集団認知行動療法(cognitive behavioral group therapy:CBGT)について、薬物療法との併用効果を検討した。当院のCBGTプログラムは、心理教育、セルフモニタリング、行動活性化、認知再構成といった技法を用いた12セッションから構成されている。本プログラムの効果を検討するため、うつ病患者74名について、CBGT前・後・12ヵ月後で、ベック抑うつ質問票(BDI)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、DSM-IVの全体的機能評価(GAF)、36-item Short-Form Health Survey(SF-36) 、自動思考尺度改訂版(ATQ-R)、非機能的態度尺度(DAS)を実施した。その結果、CBGT後において抑うつ症状(BDI,HAM-D)、非機能的認知(DAS,ATQ-R)の得点が有意に減少しており、また社会的機能(GAF,SF-36)の得点は有意に上昇していた。したがって、すべての指標において改善が認められた。またこれらの改善は1年以上維持されている可能性が示唆された。

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© 2012 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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