2016 年 42 巻 3 号 p. 399-411
本研究は、Acceptance and Commitment Therapy(ACT)が注目する脱フュージョンという行動的プロセスを測定する尺度の作成、その信頼性と妥当性の検討、脱フュージョンに含まれるさまざまな行動の機能の重なりや相違点に基づいた妥当性の高い行動クラスを見いだすことを目的とした。40項目からなる尺度の原案を作成し、首都圏の学生を対象に横断調査を行った。探索的因子分析の結果、本尺度は【自分の自覚】・【選択と行動】・【現在との接触】の3因子18項目から構成されることが示され、脱フュージョンは三つの“機能”を含む可能性が明らかになった。また、それぞれを下位尺度とした場合、十分な内的整合性、収束的妥当性が確認された。今後は、本尺度を用いてACTが介入対象とするほかの行動的プロセスや臨床症状との関連性を検討し、精神的苦痛を緩和する脱フュージョンについての理解をより深めていく必要がある。