抄録
地図そのものは有史時代以前にさかのぼるものであるが, その学問的な確立は比較的新らしい。写真測量に端を声くリモートセンシングなどの情報収集技術やスクライビングから自動化にいたる製図技術の革新的な発展などに基づいて, 精密な地形図類や多様な主題図類が短時日に比較的容易に整備できる可能性が生じ, またこらの地図類が地球科学全般における有用かつ強力な基礎資料となることの認識が高まり, 地図研究の学問的体系化とその内容の高度化の要請が近年ますます強くなってきている。ICAはかかる状勢の中から必然的に創立された地図学における唯一の学術交流を目的とした国際学術団体である。1959年にICAは設立されたが, その定款は1961年の第1回総会で決定した。日本はこの総会以来, 毎回代表を送り, 定常的な委員会等に委員の指名を受けて積極的な活動をっづけてきている。また1972-76年度の副会長に日本人科学者が選出され, 1980年の総会と学術会議を日本で行なう計画などもあり, ICAにおける日本の地位は今日大いに高まっている。