2025 年 4 巻 2 号 p. 99-105
【目的】本研究の目的は,介護老人保健施設入所者におけるトイレ動作の介助量と膝伸展筋力が関連するかを検証し,トイレ動作が一部介助で行える膝伸展筋力を明らかにすることである.【方法】デザインは横断研究で,対象は介護老人保健施設に入所中の利用者とした.その対象者を,Barthel Indexのトイレ動作の介助量により一部介助群と全介助群に群分けした.トイレ動作の介助量に膝伸展筋力が関連するのか,およびトイレ動作が一部介助で可能な膝伸展筋力のカットオフ値をロジスティック回帰分析で検証した.【結果】解析対象は117人(一部介助群82人,全介助群35人)であった.トイレ動作を一部介助で可能な膝伸展筋力のカットオフ値は 0.16 kgf/kgであった.多変量ロジスティック回帰分析では,膝伸展筋力のカットオフ値は年齢や性別とは独立してトイレ動作の介助量と有意に関連していた.【結論】介護老人保健施設入所者のトイレ動作の介助量と膝伸展筋力は関連しており,一部介助で可能な膝伸展筋力のカットオフ値は 0.16 kgf/kgであった.このカットオフ値を目標に膝伸展筋力を強化することで,トイレ動作の介助量を軽減できる可能性が示唆された.