芝草研究
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シバ在来品種「朝駆」の導入が農村畦畔の群落高の推移および発生種に及ぼす影響
伏見 昭秀橘 雅明長沼 和夫
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2015 年 43 巻 2 号 p. 163-167

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抄録
草刈り回数が芝生畦畔と雑草畦畔の群落高の推移および発生種に及ぼす影響を2年間検討した。芝生畦畔はシバ在来品種「朝駆」 (Zoysia japonica ‘Asagake’) を二重ネット工法で植栽し, シバの被度が80%に達した2年目の4月からの法面を供試した。雑草畦畔は隣接の慣行管理された法面を供試した。芝生畦畔の年3回刈り区は, 雑草畦畔の年4回刈り区に比較し, 5月から9月の群落高は低く推移する傾向であった。シバの導入によって, 草刈り回数を慣行の年4回から年3回に減少できることが示唆された。発生種数は両畦畔でほぼ同じだったが, 芝生畦畔では, 雑草畦畔に比べて, 多年草の大型種数が少なく, とくに木本の発生は見られなかった。遷移の進んだ雑草畦畔では, 草刈り毎に, 大型の多年草や木本が再生する一方, 新たな二次遷移として始まった芝生畦畔では大型の多年草の再生が少ないため, 雑草畦畔に比べて群落高は低下すると考える。
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© 2015 日本芝草学会
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