抄録
現代降圧薬による継続治療下にある本態性高血圧の臨床多数例の長期追跡調査の実態に基づき, 予後規定因子の意義の再検討を行った成績を示し, より合理的な高血圧管理の在り方について提言を試みた。血圧の高さそのもの・高脂血症・肥満には予後規定因子として見直しの必要性を認めると共に, 高血圧性臓器障害とそれを中心とした総合重症度分類の, 予後予測に果たす重要性が確認された。
高血圧治療の進歩・普及は単に病態の変動・生存率の改善をもたらしたのみではなく, 危険因子の意義にも大きな修飾を及ぼしており, その実態を踏まえた管理・指導が望まれる。