日本循環器管理研究協議会雑誌
Print ISSN : 0914-7284
慢性期脳卒中及び高血圧症例の血圧変動-高血圧管理の見地から-
第6報mPRPからみた高血圧症例の実態
劉 会中竹下 司恭
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 28 巻 2 号 p. 94-100

詳細
抄録
循環系の最も基本的な機能は, 血圧, 1回拍出量, 脈拍, 血管抵抗を適切に調節し, 各臓器に過不足なく血液供給することである。臓器血流自動調節の規定因子である平均血圧の日内変動は脈拍のそれと必ずしも同調しない。循環動態恒常性機構の観点から, 平均血圧と脈拍との積 (mPRP) を検討した。
水銀血圧計測定値から得られた高血圧治療群 (406例) 及び高血圧未治療群 (212例) の随時mPRP平均値は, 性・年齢の如何を問わず, 正常血圧群 (206例) と比べ夫々有意に大であった。ABPM測定値から得られた正常血圧群の基礎mPRP平均値は, 性・年齢の如何を問わず5,000を下回らず, 日内変動範囲は8,000~4,000であった。これに対し, 高血圧治療群及び高血圧未治療群の基礎mPRP平均値は, 性・年齢の如何を問わず夫々6,000を下回らず, 日内変動範囲は, 極く一部を除き, 夫々8,000~4,000と9,000~5,000 であった。各血圧群別mPRP上限値/下限値の比は2.0未満であった。循環動態恒常性維持に関連し, 各臓器のニーズに対応するmPRP値は, 高血圧管理上有用かつ実践的なパラメーターとして利用できる。
著者関連情報
© 社団法人 日本循環器管理研究協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top