日本循環器管理研究協議会雑誌
Print ISSN : 0914-7284
健康維持と循環器系リスクの是正に関する身体活動について
小宮 秀明宇佐見 隆廣佐伯 圭一郎森沢 康近藤 泰弘木塚 次子塚本 由紀子
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1993 年 28 巻 2 号 p. 101-108

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抄録
栃木県I町の運動普及推進モデル地区の30歳以上の地域住民481名を対象に基本健康診査, 体力測定, 運動負荷試験及び日常生活状況調査を施行し, これらの成績を基に地域住民個々に有酸素運動 (エクササイズ・ウォーキング) の運動処方を提示・指導した。運動実践6カ月時点に開始時点と同様の検査・測定・調査を施行し, これら運動実践前後の成績を基に住民の健康の維持と循環器系疾患のリスク軽減におけるエクササイズ・ウォーキングの有効性について体力水準や脂質代謝等を中心に集団的な評価検討を行った。総合的な体力水準は, 男女ともに軽度な増進傾向が認められた。男女とも歩行量が多い群ほど血清脂質系に良好な改善傾向が認められ, 日常の生活・運動習慣の改善者にHDLの増加とTG, AIの減少が顕著に観察された。また, 運動実践活動に伴い, 日々の生活・運動状況に改善がみられ, 不定愁訴等にも軽減ないし消失傾向が観察された。以上, 有酸素運動 (エクササイズ・ウォーキング) の実践により, 体力水準の増進とともに生活状況の改善傾向が窺われ, 体力, 脂質代謝等に是正傾向が観察されたことから, 健康の維持増進や環境器系疾患のリスク軽減に及ぼす運動実践の有効性は, 地域住民を対象とした生活の場においても十分可能であることが示唆された。
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