日本循環器病予防学会誌
Print ISSN : 1346-6267
脳卒中と酸化ストレス
相澤 仁志長谷部 直幸菊池 健次郎
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2005 年 40 巻 1 号 p. 50-54

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抄録

脳卒中は本邦の循環器病の中では最も発症率が高く、国民病ともいわれている。脳卒中の中でも、とくに脳梗塞急性期の病態には酸化ストレスが深く関与しており、酸化ストレスを抑制することが治療の新たなターゲットと考えられる。脳が虚血に陥るとフリーラジカル/活性酸素種が産生され膜リン脂質・タンパク質・DNA・ミトコンドリア・小胞体などが障害され最終的には神経細胞死にいたる。本邦で脳梗塞急性期に使用可能となったフリーラジカルスカベンジャーのエダラボンは細胞毒性の高いハイドロキシラジカルなどの消去により、内皮細胞保護作用や脳浮腫・脳梗塞・遅発性神経細胞死の抑制を介して、臨床的に神経症候や機能障害を改善すると考えられている。脳梗塞急性期には白血球もスーパーオキシド/活性酸素種発生源の一つであるが、エダラボンにより白血球関連フリーラジカルも抑制することが明らかになった。

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© 社団法人 日本循環器管理研究協議会
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