日本循環器病予防学会誌
Online ISSN : 2759-5323
Print ISSN : 1346-6267
臨床研究・基礎研究からみた循環器疾患予防の観点 : CASE-J試験から学ぶもの
上嶋 健治大庭 幸治保野 慎治藤本 明中尾 一和
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2007 年 42 巻 2 号 p. 112-116

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抄録
CASE-J試験は心血管系イベントの発症を指標として、ハイリスク本態性高血圧患者を対象にカンデサルタンとアムロジピンの有効性について比較検証した本邦初の臨床試験である。主要評価項目には両薬剤間に有意な差は認めなかったが、カンデサルタン群はアムロジピン群に比べて、糖尿病の新規発症と腎機能障害例での腎イベントおよびBMI高値例での全死亡を有意に抑制し、左室肥大退縮率も有意に大であった.とくに糖尿病の新規発症への抑制効果が肥満度に応じて大きくなったことは重要な知見である。また、CASEJは京都大学EBM研究センターがマネージメントし、アカデミア主導で実施した循環器領域では本邦初の大規模臨床試験である。今後、臨床試験が企画され実施されていく中で、科学的、客観的、倫理的に中立的な立場に立つ、アカデミア主導の質の高い臨床試験の増加が望まれる。
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© 社団法人 日本循環器管理研究協議会
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