2023 年 60 巻 2 号 p. 2_1-2_14
本稿では,中国独自の特徴を有する国有企業の,特にその成立や改革の過程,状況を定性的・定量的に概観することを通して,コーポレート・ガバナンスの観点から「地域研究」としての中国の独自性への接近を試みた.具体的には,第一に,国有企業改革を巡るこれまでの先行研究の整理を通じて,中国における国有企業の位置付けや意義,背景,そして抱える課題の変遷を横断的に概観した.第二に,「混合所有」や「混合市場」といった議論も踏まえながら,国有経済が増強し民有経済が縮小する「国進民退」が起きているのかについて,マクロデータとミクロデータを用いた定量的な把握を試みた.その結果,特に2010年代以降,量的にも質的にも「国進民退」といえる状況が確認された.最後に,企業内部の党組織や,「所有と経営の分離,中国型」という中国独自のコーポレート・ガバナンス構造に注目しながら,中国企業のコーポレート・ガバナンスの今後について展望した.