抄録
移行経済下,産業構造は大きく変化する。それは社会主義時代に人為的に作られた産業構造が新しい市場ニーズにみあったものへ変化する過程である。ここではポーランドにおける経済改革の10年の中で,産業構造の変化の実態を見,また事例として繊維産業,鉄鋼産業の内部でその生産構造がどのように変化したかを検討する。次ぎに,その変化をもたらした要因を貿易面,企業の発生面,さらにFDIの実績から分析し,最後に新たに形成された産業構造がポーランドにとって望ましいものであったかどうかの評価を産業構造の高度化の観点から論じる。