抄録
新幼稚園教育要領では,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が提示され,幼児期から非認知能力を育むことの重要性が示された。非認知能力を育む際には,構成要因の一つである自尊感情の育ちに留意した養育,保育が必要であると考えられる。本研究では,4,5 歳児を養育保育する保護者と保育者を対象に「自尊感情が高い子どもイメージ」について自由記述で調査し,両者の視点について明らかにした。また,「自尊感情が高い子どもの姿」と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の共通点を探り,自尊感情の育成と非認知能力の育成の関連を明らかにすることを目的とした。結果として,両者共通の視点では,自己主張するだけでなく他者を思いやることができる幼児の姿が自尊感情が高い子どもとしてあげられた。異なる視点として,保護者は,幼児の成長と関連させて自尊感情の高さを捉え,保育者は集団生活の中で幼児の姿を比較することから自尊感情の高さを捉える傾向があった。また,これらの全ての姿が「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に対応する部分を有しており,自尊感情と非認知能力の育成には関連があることが示唆された。