応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
最新号
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原著論文
  • 相田 直樹
    2026 年42 巻2 号 p. 3-15
    発行日: 2026/02/28
    公開日: 2026/04/17
    ジャーナル フリー
    協働学習において学び手に参加してもらう教育実践について議論する際,学び手本人が「協働学習の何に価値を見出しているか」を尋ね,学び手の価値という視点からアプローチする必要があるといえる。そこで本研究では,協働学習における参加要因を議論する上で学び手が協働学習に見出す価値を探索的に調査した。具体的には,協働学習場面において楽しみにしていることを中学生に尋ね,自由記述による回答を求めた。得られた結果を収集してオープン・コーディングを実施し,サブカテゴリを作成し,カテゴリを編成した。その結果,カテゴリは「会話活動」,「意見」,「グループ活動」,「他の学び手との関係性」,「理解深化」,「課題」,「その他」に分類された。特に,学び手は話し合うことや他の学び手の話を傾聴すること,そして新発見や新たな視野が得られることや自身と異なる意見に触れることを楽しみにしている傾向が示された。
  • 中野 広大, 浅野 泰昌, 髙橋 敏之
    2026 年42 巻2 号 p. 17-31
    発行日: 2026/02/28
    公開日: 2026/04/17
    ジャーナル フリー
    日本国は,自然災害の多い国であり,国民一人ひとりが自然災害の実態を理解し,防災・備災に関する意識を高め,被災時に適切な対応や行動をできることが求められる。特に幼児期の防災・備災教育においては,幼児の発達過程に即した視聴覚教材が必要である。本論では,幼児の生活に密接に関わる児童文化財を取り上げ,①地震発生時,②保育施設からの避難時,③津波発生時,の各場面における被害の様子やそれへの対応を描いた人形劇,パネルシアター,影絵劇を保育者養成大学の課外活動において制作し,その視聴覚教材としての特徴を検討した。その結果,児童文化財を併用することで写実的な表現が可能となり,保育における視聴覚教材の鑑賞を通した疑似体験の教育的効果も期待された。
  • 髙須 裕美
    2026 年42 巻2 号 p. 33-47
    発行日: 2026/02/28
    公開日: 2026/04/17
    ジャーナル フリー
    本研究では, 保幼小の子どもの歌唱教材の難易度の比較を検討するために,就学前施設で歌われる歌唱曲(幼児歌唱曲)と小学校1 年生の音楽科の歌唱教材(児童歌唱曲)を,「音域」「リズム」の観点から難易度を比較した。その結果,保育の場で幼児によく歌われている歌唱曲は,就学直後の教育の場で歌われている歌唱曲と比較して,音域において難易度の高いものが多い傾向が見られ,リズムにおいても同様の傾向が見られた。この結果から,幼児歌唱曲は,児童歌唱曲に比べて相対的に歌いにくい歌唱曲が多い傾向が明らかにされた。これらの示唆をふまえて,就学前と就学後の教育にどのような視点や工夫が求められるかについて議論した。
  • 石川 勝彦 , 長井 映雄
    2026 年42 巻2 号 p. 49-67
    発行日: 2026/02/28
    公開日: 2026/04/17
    ジャーナル フリー
    本研究では,教職実務を一時中断するのではなく,フルタイム勤務を継続しながらオンライン学習を並走させる教職大学院「遠隔教育プログラム」受講者の学習行動の実態と学習行動に影響を与える要因を探索した。想起バイアスを抑制し現象をリアルタイムに把握するため経験サンプリング法を用いて測定を実施した。経験サンプリング法が生成するマルチレベルデータの解析に適した階層線形モデルを推定したところ,管理職業務等が学習を阻害する傾向はみられなかったが,勤務があることで学習頻度が低下した。学習環境としては,指導教員とのコミュニケーションが学習充実度を強く左右することがみえてきた。そして日常ストレスとして,健康状態が学習充実度を阻害する一方,職場の人間関係が不良である場合に,学習の充実度が向上する傾向が認められた。この点は生涯学習の効果性の観点から考察された。本データから指導教員を中心に,アドバイザー等が学習のペースメイク,健康状態への配慮等,総合的な支援を提供することの重要性と効果性が示唆された。
展望論文
  • 梅本 菜央, 髙橋 敏之
    2026 年42 巻2 号 p. 69-88
    発行日: 2026/02/28
    公開日: 2026/04/17
    ジャーナル フリー
    本論では,長年課題とされてきた保育者の離職に関する学術論文を,量的研究と質的研究に分けて概観し,保育者の離職に関する研究の研究動向と課題について検討した。分析の結果,まず,量的研究と質的研究両方において,離職経験者本人を対象とした研究では,離職の要因として,職場の人間関係や労働条件等が多く挙られていた。次に,質的研究では,複数の研究から,保育者が離職に至る経緯は複雑で,様々な要因が絡み合っており,重層性を有することが示唆された。離職防止策としては,新人教育体制や同僚性が機能するような職場風土の構築等,組織全体としての改革の必要性が示唆された。最後に,以上の所見を前提に,結婚や妊娠,出産等のライフイベントによる離職に関する詳細な検討の必要性,勤務継続の要因に関する研究の蓄積の必要性,保育現場における組織マネジメントに関する研究の蓄積の必要性を指摘した。
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