応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
最新号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 加藤 孝士
    2025 年41 巻2 号 p. 3-16
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究は,大学生の内的作業モデル(Internal Working Model:IWM)と幸福観が主観的幸福感に与える影響を検討した。具体的にはまず,幸福観の指標を作成するために予備調査を行い大学生が幸せをどのように捉えているのかを明らかにした。その後,大学生168 名を対象に調査を行い,幸福観尺度の作成を試みた。その結果,「人間関係」「達成感」「ゆとり」「物理的充足」「余暇」の5 因子が確認された。続いて,IWM と幸福観が主観的幸福感に与える影響を検討した結果,ポジティブなIWM(自己観(anxiety)や他者観(avoidance)がポジティブ)の大学生は, 主観的幸福感が高いことが示された。加えて,他者観がポジティブで自己観がネガティブな大学生は,人間関係を幸せと捉えているほど幸福感が高まることが示された。また自己観,他者観がネガティブな大学生は,物理的充足を幸せと捉えているほど,幸福感が高まることが示された。
  • 姫田 知子
    2025 年41 巻2 号 p. 17-29
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
    社会環境の変化に伴い,地域の子育て支援事業が予防的効果を発揮することが期待されている。本研究では,利用者が地域の子育て支援事業を利用する初期段階で求めるものについて明らかにするとともに,継続的利用が促されるための要因を検討することを目的とした。予備調査で得られた結果をもとに「利用時に求めるもの」を作成し,0~2歳の子どもをもつ母親を対象にした調査を行い,利用頻度や利用目的との関連から継続的利用に必要な環境整備要因を検討した。その結果,0歳児の母親の利用促進には,利用施設の安全性が伝わるような広報が有効であること,2歳児の母親の利用促進には,積極的な関わりやスタッフの在席状況を周知する等の対応が有効であると示唆された。また,利用目的が母親同士の交流の場合,子どもが楽しめる環境やスタッフのファシリテーター的役割への期待があり,ひとりでゆっくりできる場を求めている場合,スタッフの親近性 や安全面を重視していることが示唆された。
  • 亀田 凌雅, 中地 展生
    2025 年41 巻2 号 p. 31-43
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,大学生における対人支援ボランティア場面でのストレッサーと参加動機,期待するソーシャルサポートとの関連を検討することであった。Web アンケート調査を実施し,対人支援ボランティア経験を有する213 名の主に心理・福祉・教育を専攻する大学生・大学院生の回答が得られ,それらのデータを用いて重回帰分析を行った。その結果,期待するソーシャルサポートはどのようなストレッサーが強いかということよりも参加動機によって左右されることが明らかになった。このことを踏まえると,参加動機の事前アセスメントによって,個々にあった支援の方向性を検討し,事前研修や環境調整を行っていくことが,バーンアウトの予防に繋がると考えられる。そうしたサポートは,直接的に支援を受ける被支援者に対して安定的な支援を提供することに繋がるとともに,将来的な臨床心理士等の対人支援専門職養成の意味でも有意義なものになると考えられる。
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