日本神経救急学会雑誌
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症例報告
東日本大震災による在宅療養中の筋萎縮性側索硬化症患者への対応—人工呼吸器装着患者に対する計画停電対応事例—
岩崎 恭大相澤 勝健谷崎 義生美原 盤
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2012 年 24 巻 3 号 p. 110-115

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抄録

平成23年3月11日の東日本大震災の2日後,電力供給不足による計画停電が発表された.このことは,在宅療養中の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者にとって,生命線である人工呼吸器の電力確保に極めて深刻な影響を及ぼす.そのため,病院内のチームである医師,看護師,MSW等が緊急招集され,在宅療養をサポートするチームの在宅主治医,訪問看護師,行政機関,機器メーカーと連絡をとり,患者6名のALS患者を緊急入院で受け入れることとした.さらに,入院以外のALS患者に対しては,在宅でも電力が確保できるよう車載インバーターを購入し,患者宅および在宅主治医に配布した.これらは計画停電の実施発表から24時間以内で完了した.このように迅速に対応できたのは,日ごろから院内だけでなく地域全体でチーム医療を実践してきた効果であると考えられる.チームとしての医療提供は,医療の質を高める手段だけでなく,有事における効率的な患者対応を可能にするものと考えられる

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