コミュニケーション障害学
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加齢またはアルツハイマー病が語彙意味機能におよぼす影響: feature listing 課題による検証
津田 哲也中村 光藤本 憲正
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 33 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
本研究の目的は,feature listing(FL)課題を用いて,加齢またはアルツハイマー病(AD)が語彙意味機能におよぼす影響を明らかにすることである。対象者は健常若年群30 名,前期高齢群21 名,後期高齢群18 名,AD 群19 名である。FL 課題とは,対象者に基準語から連想される単語の列挙を求め,対象概念に対する意味ネットワーク構造を検討する方法である。検証の結果,AD 群の産生語数は他群に比べ有意に少なく,MMSE(Mini-Mental State Examination),音声単語と絵のマッチング課題,呼称課題得点との間に有意な相関関係を認めた。AD 群や後期高齢群では,感情的な反応が占める比率が他群よりも有意に高く,特にAD 群で顕著であった。以上より,意味ネットワークは加齢やAD の影響を受け,特にAD では意味ネットワークにおいて自身の経験や感情がより大きな比重を占めるようになるものと考えた。
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© 2016 日本コミュニケーション障害学会
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