コミュニケーション障害学
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表出性言語障害児の障害背景:発話反応と音韻認識および文字習得の関連から
柴  玲子藤原 加奈江井上 勝夫和田 真理子大石 敬子
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 36 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
表出性言語障害児2事例の障害背景,およびそれが音韻認識力,文字習得にどのように関連したかについて,認知神経心理学モデルを使用して考察した。発話に非語があった事例1は,音韻認識力の低さ,文字−音韻変換の遅れを認め,読み書き障害が疑われた。背景に音韻表象の障害があると仮定し,それが表出性音韻辞書(音韻出力辞書)の発達を阻害し,結果的に音韻認識,文字習得に影響したと推測した。発話に音韻の誤りを認めたが文字−音韻変換は順調だった事例2は,発話に単語様の音形があったため,表出性音韻辞 書は不確実な発達と仮定し,文字情報を介することで音韻情報を強化し発話が明瞭化したと推測した。
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© 2019 日本コミュニケーション障害学会
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