聴能言語学研究
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失語症者のディスコース能力の評価法に関する基礎的研究:Ulatowskaの続き絵を用いて
三田地(堀) 真実本多 留美
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1996 年 13 巻 3 号 p. 197-204

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抄録
本研究はUlatowskaら(1981,1983)の方法に準じ,健常者と脳損傷者を対象として,(1)2群のディスコースの理解面の比較,(2)2群の被験者が表出したディスコースの基礎データの比較,(3)健常群の表出したディスコースから“superstructure”を抽出できるかの検討,(4)健常群の“superstructure”を基準に脳損傷者のディスコースを分析すること,の4点を目的として実験を行った.その結果,(1)理解面,および(2)表出面の基礎データでは健常群に比べて脳損傷群は低下している,(3)健常群の結果から“superstructure”を抽出することは可能,(4)(3)を基準にした脳損傷群の分析結果では,“superstructure”の数が不足している,ことが示された.今後は物語文,手続き文などさまざまな種類・長さのディスコースについて同じ方法で分析し,ディスコース間の難易度を数値化して表し,ディスコースそのものの分析方法を検討していくことが重要であると考える.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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