聴能言語学研究
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健常幼児における身ぶりの発達(2)
山本 正志山本 博香
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1996 年 13 巻 3 号 p. 205-212

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抄録

山本ら(1993)は伝達機能の発達を分析する目的で,1健常男児について0歳6ヵ月から1歳6ヵ月まで,10の身ぶりの消長を日誌法で記録し報告した.今回さらに2健常幼児について,同じ方法で資料を得たので報告する.指さし・首ふり・提示・手ふりは2児ともに比較的早くから使われ始め,またこの期間安定して使われた.逆に挙手・首肯・おじぎ・腕のべ・手のべ・手招きは初出が遅れたり,使用が安定しなかった.また個人差が大きく,使われない場合もあった.また早く初出する身ぶりでは,伝達的に使われる前に非伝達的(運動遊びや共感遊び)に使われる時期があった.逆に遅く初出した身ぶりは,最初から伝達的に使われた.これらの知見は山本ら(1993)と一致した.健常幼児では1歳3ヵ月頃に身ぶり使用の発達的転機があり,それ以前ではいろいろな動作を使い始めるが十分伝達的ではない.転機以降は「誰に何をしてほしいか」を特定の身ぶりを使って表現できるようになると考察した.

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