聴能言語学研究
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第23回 日本聴能言語学会学術講演会 特別講演 声を作る・声を見る:九官鳥からヒトへ
宮本 健作
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1997 年 14 巻 2 号 p. 79-86

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抄録
卓越した音声模倣能力を備えた九官鳥を用いて実験的・臨床応用的研究を行った.(1)音声模倣学習の発達過程は乳幼児の言語発達の過程に似ていた.(2)九官鳥の喃語様母音は周期性高振幅波形を呈し,ヒトのそれと類似した.(3)トリの喉頭筋の局所麻酔による実験的嗄声の成績から喉頭筋が模倣母音・子音の構音に主導的役割を果たしていることが明らかになった.(4)九官鳥の鳴管(発声器)の構造に学び,新型人工発声器「マイナ」(特許番号:第2123555号)を開発し,実用化した.(5)使用した喉摘者は,語る楽しみ,話す喜びを取り戻し,ときには生きる意欲を起こすことに役立った.(6)母音/a/の周期性高振幅波は喉頭がんに伴う悪性嗄声の程度と回復過程を知る視覚的指標としてきわめて有効であることが明らかになった.(7)良性嗄声と悪性嗄声を識別する可能性を得た.(7)悪性嗄声を早期発見する臨床的視覚評価または悪性嗄声の第2予防の実現が期待される.
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