抄録
当院において月1回行われる摂食外来の実態について調査を行った.主な結果としては主訴の多くが「鼻注栄養から経口摂取に移行させたい」「離乳食が進まない」であったこと,指導回数は1回で終了したものが最も多かったこと,などであった.また本外来で指導した症例のうち,改善例と中断例を比較すると,疾患別では中断例に脳性麻痺児が多い傾向がみられた.初診時の食形態には顕著な差が認められなかったが,最終時の食形態について,中断例では食形態が不変または後退したものが多かった.また,他者に勧められて受診に至ったものが中断例には多かった.この調査を通じて,食事にまつわる援助が決して「訓練」的な位置づけだけでは解決しえないことが明らかとなった.こうした子どもにSTがどのようなサービスを提供するかについてST自身が自己の資質の限界吟味を主体的に行い,自己の臨床感や立場を明確にした上で指導に当たることが必要と思われた.