抄録
構音指導に静的弛緩誘導法(立川,1985)を併用して,精神発達遅滞を伴う脳性麻痺児2例に指導を試みた.中度精神発達遅滞を伴う事例1では口腔周辺筋部の弛緩を促した直後に構音指導を実施した結果,構音の改善がみられた.重度・重複障害を有する事例2では静的弛緩誘導法による発声時の姿勢コントロールの援助に重きをおきながら舌骨周辺筋部の弛緩を促した結果,指示に応えての発声の表出,および/a/,/o/を分化して発することが可能となった.本結果から臨床的にみて,静的弛緩誘導法を併用して構音指導を行うことの有効性が示唆された.