聴能言語学研究
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〈摂食・嚥下指導を再考する〉摂食・嚥下障害への治療的介入:治療効果,構音との関連
椎名 英貴
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2000 年 17 巻 1 号 p. 28-35

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抄録
我々は神経疾患に起因する46例の摂食・嚥下障害患者に対する治療的介入の効果,ならびに摂食・嚥下機能と構音機能の関係を検討した.結果は以下のとおりである.(1)28例に十分な効果がみられた.(2)年齢,発症から入院までの期間,介入の期間,摂食・嚥下障害の重症度は改善とは関係がなかった.認知機能の問題のみが治療効果に影響をおよぼした.(3)藤島の摂食・嚥下能力に関するグレードをもとにした摂食・嚥下機能と発話明瞭度との間には有意な相関が認められなかった.摂食・嚥下の口腔準備期の機能と構音の間には有意な相関が認められた.これらの結果は,摂食・嚥下機能と構音機能の間には共通する要素とそれぞれの機能に固有の要素が存在することを示している.言語聴覚士は摂食・嚥下障害の治療的介入にあたって,構音と共通する口腔準備期の機能のみならず,摂食・嚥下に固有の要素に対しても広く介入すべきであると考えた.
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