聴能言語学研究
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幼児における音声産出能力の発達と音韻意識の関係
風間 雅江
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2000 年 17 巻 2 号 p. 72-78

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抄録

通常の発達過程にある3歳から5歳の幼児30名を対象とし,同一児に対して音声産出課題と音韻分解課題とを行い,その反応の分析から音声産出能力の発達と音韻意識の発達との関係を検討した.その結果,単語を何らかの単位で分解することができた幼児23名において,音声産出課題の正反応数と,音韻分解課題のモーラによる分解反応数との間に,有意な正の相関関係が認められた.幼児の音声産出反応に含まれた誤りの音節構造および音韻分解反応の特徴等から,特に4,5歳という年齢層の幼児においては,音節よりも小さな音韻単位であるモーラの存在に気づき,モーラで分節化することが可能になっていくことが明らかになった.また,その過程で幼児の音韻情報の処理特性や音韻表象の性質が変化し,その影響によって音声産出がより正確になる等の可能性が考えられた.

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