抄録
近年,聴覚障害児のインテグレーションについては,時代の移り変わりと実際にインテグレーションを経験した聴覚障害者本人の意見などが明らかになる中で,見直しのときを迎えているといえる.バリアフリーが耳慣れた言葉として使われている今,軽・中等度の聴覚障害児が補聴器を装用して,聴覚口話法で教育され,地域の小学校にインテグレーションしていった30数年前を考えると隔世の感がある.その後,補聴器の発達とともに多くの重度の聴覚障害児達もインテグレーションされ,聞こえる子どもたちと学習や生活を共にしてきた.こうした30数年間のインテグレーションの実際を「母と子の教室(トライアングル教育部の前身)修了生のアンケート調査」を参考にしながら明らかにしていき,現在のインテグレーションの状況を述べ,これからの望ましいインテグレーション支援のあり方を考えていきたい.