抄録
自閉症児の言語発達の遅れと異常は,自閉性障害の他の側面の加齢にともなう変容にくらべ改善の乏しい発達側面である.その精神発達の程度と話しことばの有無から,自閉症児は3つのサブグループに区分できる.話しことばをもたない遅滞群は記号化と音声の体制化の欠陥をもっている.話しことばをもつ遅滞群は主に記号化の障害をもつ.発達群も記号化の障害をもっているが,とりわけ語用側面の異常が際だっている.
自閉症児に言語操作能力とコミュニケーション能力を培うためには,その土台となる伝え合いの経験を積み重ねることが重要である.そのための方法として非音声の言語を“補い刺激”として併用することは有効であろう.しかし,その具体的な方途はまだ確立されていない.本稿では,非音声の言語刺激を導入すべき対象児の特徴と動作サインを指導した幼児の症例の経過を述べ,今後の検討課題を提起した.