聴能言語学研究
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〈言語の発達が遅れた子供の評価および指導的アプローチ〉サイン言語指導適用の試み:ダウン症候群のグループ指導を通して
津田 望
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1991 年 8 巻 3 号 p. 202-208

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抄録
過去20余年の間に,発達障害児(者)ヘサイン言語指導の試みがなされ,その報告がされてきた.これまでその主なものは,音声言語獲得が困難な場合に,その代替手段として指導されてきた.
しかしここでは,音声言語獲得前後期のダウン症児へ,サイン言語を視覚刺激として,また音声言語への媒介モードとして使用することが,彼らの“象徴機能”“操作・探索機能”および“注意の集中持続”の発達過程に,どのように関与しているかをみた.
その結果,指導36回後,サイン言語を指導に取り入れたグループの発達過程が,コントロール群である通常指導群の場合と異なり,健常児群のそれと酷似していた.ゆえにサイン言語を,音声言語への移行モードとしての使用や,視覚刺激として頻繁に提示することが,発達障害児の“注意の集中の持続”などの改善に有効であることがわかった.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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