コミュニケーション障害学
Online ISSN : 1884-7048
Print ISSN : 1347-8451
ISSN-L : 1347-8451
ダウン症をもつ子どもと母親との相互作用に関する台湾と日本の比較研究:母親の会話スタイルと子どもの表出言語発達の関連
黄 素芬窪田 庸子大井 学
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 23 巻 1 号 p. 9-15

詳細
抄録
母親の会話スタイルと子どもの表出言語発達との関連について,台湾と日本の比較研究を行った.参加者は台湾と日本の各16組のダウン症をもつ子どもとその母親であった.パス解析の結果,両国で母親の会話スタイルが子どもの2年後の追跡時の表出言語発達に影響を及ぼすメカニズムが大きく異なることが示された.台湾では,母親の指示と指示質問の多さが子どもの言語発達を抑制する方向に働いており,明確化要請は促進因として働いていた.日本では,母親の指示と指示質問が抑制因として働き,確認要請が促進因として働いていた.応答は抑制因として働いていた.母親の指示が子どもの言語発達に否定的影響を及ぼすことを示す結果は,英語圏,台湾,および日本に共通であった.しかし,英語圏で子どもの言語発達に促進因として働いている母親の応答が,台湾では影響力をもたず,日本では否定的な影響を与えていることが明らかになった.
著者関連情報
© 日本コミュニケーション障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top