犯罪心理学研究
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少年非行の類型と非行形成要因—教護院の50事例の多変量解析から—
五宝 友哉北村 陽英
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1989 年 27 巻 1 号 p. 22-35

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抄録

教護院収容事例すなわち保護環境に恵まれなかった非行少年群を,非行内容の相関関係によって類型化し,非行のある少年間で,なぜ非行内容に相違が生じたかを探ることにより,保護環境に恵まれなかった少年の非行の形成要因の一端を解明することを試みた。

非行内容は,窃盗型非行,不良交友感染型非行,暴力型非行の3類型に分類された。窃盗型非行は.「幼児期における母親の養育態度が放任•無関心」「愛情喪失経験がある」「学業不振」などの項目との連関が認められた。不良交友感染型非行は.「思春期における養育環境の物理的欠落」「友人からの非行の学習」「学校の指導上の問題」などの項目との連関が認められた。暴力型非行は,「幼児期における母親の養育態度が過保護•溺愛」「父母が夫婦不仲」などの項目との連関が認められた。すなわち,これら3類型間には,少年の保護環境が悪くなった生育歴上の時期の違いと内容の差が認められた。

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© 1989 日本犯罪心理学会
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