犯罪心理学研究
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原著
非行少年の家族認知に関する研究―家族との心理的な距離を手がかりとして―
出口 保行大川 カ大西 美加
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1996 年 34 巻 2 号 p. 1-13

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抄録

本論では,家族の中でも,父,母,きょうだいというような狭義の家族に対する認知から見た心理的な距離に着目して研究を進めた.その結果,認知といっても,各少年の年齢・性別や置かれていた環境により大きく異なること,それは男子より女子により大きな影響を及ぼしやすいこと等が明らかになった.少年達は自我がぜい弱であることは本論の始めで述べた通りであり,家族という最も身近な人から受ける影響は,少年たちにとって計り知れないくらい大きいものと考えることができ,非行に走った要因の一つとして,家族の問題を考えることの重要性が改めて認識される結果となった.今後は,今回の調査では分析しなかった家族と非行性の関係などを考察することにより,一層研究を深めていきたい.

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© 1996 日本犯罪心理学会
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