犯罪心理学研究
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自己呈示行動としての非行(2)―集団場面における粗暴行為の意味:非行少年は「誰に」「どのような」自分を見せようとしているのか―
國吉 真弥
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2015 年 53 巻 1 号 p. 21-36

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抄録

本研究では,集団場面における粗暴行為に影響を与える変数として,自己呈示目標,自己呈示を向ける対象及び印象操作への動機づけに焦点を当て,場面想定法を用いた質問紙により検討を行った。調査対象者は,非行少年(少年鑑別所収容中の男子少年194名)と無非行少年(非行歴のない男子高校生204名)であった。その結果,不良集団所属歴のある非行少年は,無非行少年に比べ,自分を強く見せようと虚勢を張るような自己呈示目標を抱きがちであること,自己呈示を向ける対象として「仲間」や「相手」を意識しがちであること,本研究で用いられたタイプの印象危機場面で印象操作へ強く動機づけられることなどが明らかになった。次に,想定場面で印象操作を動機づけられた少年を抽出し,そのうち,想定場面で粗暴行為を実行しようとする少年(高粗暴群)と実行しようとしない少年(低粗暴群)とを比較したところ,高粗暴群は,自分を強く見せようと虚勢を張るような自己呈示目標を抱きがちである一方,低粗暴群は,社会的に受け入れられやすい穏当な自己呈示目標を抱きがちであること,高粗暴群は,自己呈示を向ける対象として「仲間」や「相手」を意識しがちである一方,低粗暴群は「周囲の人」を意識していることなどが明らかになった。

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© 2015 日本犯罪心理学会
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