抄録
2020年より,2021年4月現在まで,日本を含め,全世界でCOVID-19パンデミックが持続中である。日本でのCOVID-19の流行開始当初は,感染の流行・拡大の伝播ルートに関する多くの要因は不明であった。当超音波・生理検査センターでは,2020年3月上旬から,airborne transmission(従来の定義である「空気感染」とは分別するためこの用語を用いる。エアロゾル感染も含め)の可能性を考慮し,いち早く外気導入による換気を安全かつ簡便に行う方策を講じると同時に,患者の受療行動を調査し,行動変容を促すような対策も行った。超音波検査部門内の感染制御は,COVID-19の病院関連の伝染を防ぐために重要である。その結果,約1年経過後の2021年3月まで,当部門を介した感染拡大は生じていない。本報告では,近代的機械換気装置を完備している医療機関における実際の換気状況を二酸化炭素濃度の測定により検証し,それと同時に,患者行動の変容を促すなど,日本の社会環境に適応し,かつ簡単に取り組むことが可能な感染制御を紹介する。